【五輪現地ルポ】リオデジャネイロはいま

2016年6月29日

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佐々木正明 (ささき・まさあき)

ジャーナリスト、大和大学社会学部教授

1971年岩手県生まれ。大阪外国語大学(現・大阪大学外国語学部)卒業後、産経新聞社に入社、大阪社会部、モスクワ支局長、リオデジャネイロ支局長、運動部次長、社会部次長を歴任。特派員として五輪・パラリンピックやサッカーW杯を取材した。2021年春から現職。著書に『恐怖の環境テロリスト』(新潮新書)、『シー・シェパードの正体』(扶桑社新書)。

 大会自体の予算も縮小しており、伝統文化や観光地などを海外にアピールし、国を前進させる格好の場となる世界的スポーツイベントを背負い込んでしまったことが、むしろ重荷になってしまっている。

 ある地元国会議員は「ブラジルは、2年前のサッカーW杯で精一杯だった」と嘆く有様だ。

五輪開催中も続く? 政治闘争

(3)大統領の弾劾

 海外の主要メディアは、経済危機と同様にブラジルの「政治危機」をさかんに報じている。中央政界のゴタゴタぶりは、五輪への国家の後押しを弱めている面があることは誰も否めないだろう。

 リオ五輪の開催権利を勝ち取ったルラ前大統領から引き継いだ愛弟子のルセフ大統領は国家会計を粉飾したとして、上下院の議会が相次いで弾劾の手続きを進め、5月、職務停止に追い込まれた。裁判の結審の日程は五輪期間中に組まれる可能性が浮上しており、中央政界はまさに、オリンピックどころではないのである。

リオデジャネイロ市内では、ルセフ大統領を支持するデモも行われている=今年5月1日

 弾劾裁判は1992年に不正蓄財疑惑が問われたコロル元大統領以来24年ぶりとなるが、コロル氏のケースとの大きな違いは、ルセフ氏は対決姿勢を鮮明にしている点だ。

 コロル氏は弾劾裁判の判決を前に自ら責任を取って辞任した。しかし、ルセフ氏は「最後まで闘う」として辞任を否定。所属する左派労働者党(PT)の支持者に対決を訴えかけ、暫定政権を発足させたテメル大統領代行をことごとく批判する反政府運動を起こしている。

 政治闘争は五輪期間中にも、大会にかまわず、リオ市内で繰り広げられる懸念も出ている。

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