初の黒人プリマ、ミスティ・コープランドのポスター(筆者撮影)
初の黒人プリマ登場
ニューヨークを基盤とするアメリカン・バレエ・シアター(ABT)は、今年も例年通りメトロポリタンオペラハウスで2カ月弱に渡る春のシーズンを終えた。
そして今話題のミスティとは、昨年の夏、鳴り物入りで女性プリンシパルダンサー(プリマ)に昇格された、ミスティ・コープランドのことだ。
ミスティの昇格が発表されたとき、コアなバレエファンの間では「なぜ彼女が」という疑問の囁きが多く聞かれた。
だがその声も遠慮がちだったのは、ミスティ・コープランドがABT始まって以来、初めての黒人女性プリンシパルだったからである。
シングルマザーに育てられ、恵まれない環境でバレエを続けながらついにダンサーとして北米最高の頂点に到達したというミスティ。その彼女を、テレビ、新聞など大手メディアは競うように取り上げて、アメリカ社会を象徴する美談として祭り上げてきた。
愛らしい顔立ちと、端正なプロポーションもあって、今や彼女の名前はバレエファンでなくても知っている。