2024年4月19日(金)

WEDGE REPORT

2016年7月2日

人気低下に悩むバレエ団

メトロポリタン歌劇場のホール内(筆者撮影)

 アメリカンバレエシアターは、北米でナンバーワンのクラシックバレエカンパニーとして知られてきた。

 バレエに全く興味がない人でも、ミハエル・バリシニコフの名前は聞いたことがあるだろう。1974年にソビエト連邦(当時)から亡命したときに、彼を団員として迎えいれたのがこのABTだった。

 バリシニコフが舞台に立つ日には、ABTの公演チケットは毎回完売で、当日限定販売の立見席を求めて、人々は前夜から列に並んだというから、バレエもロックコンサート並みの人気だったのだろう。

 だがこのところ、会場では空席が目立つようになった。赤字続きで運営にも四苦八苦しているという噂である。

 その理由の1つは、ダンサーの質の低下で集客がままならなくなったこと。

 特に女性のプリマの衰退は著しく、芸術監督のケヴィン・マッケンジーは、英国ロイヤルバレエ、ボリショイやマリインスキーバレエなど、海外のスターダンサーたちを一本釣りしてゲストプリンシパルとして迎え、どうにか体裁を保ってきた。

 だがその予算も尽きたのか、今シーズンはほとんど子飼いのダンサーだけで勝負をしている。ミスティ・コープランドのプリンシパル昇格も、そんな事情の中で行われたことだった。


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