ニューヨークの夜景(iStock)
ミスティ昇格にメディアが果たした役割
ミスティの昇格を後押ししてきたのは、メディアである。
特にジェニファーの古巣であるニューヨークタイムズ紙は、ミスティ・コープランドが群舞として入団した当初から、初の黒人女性プリンシパルダンサーになるか、と何かにつけて彼女を取り上げてきた。
そんな彼女はドキュメンタリー映画には取り上げられる、先日急死したプリンスのミュージックビデオに出演するなど、話題性が確実に実力を凌駕していったのである。
ここまで世論が盛り上がってきては、芸術監督のケヴィン・マッケンジーも、彼女をプリンシパルにさせる以外、選択の余地はなかっただろう。昨年の夏、ついにミスティのプリンシパル昇格が発表された。
今シーズン、ミスティ主演の日だけはチケットが完売になったようである。何度もマスコミに登場している話題の彼女を一目見ようと、バレエファン以外の人々も劇場にやってきたのだろう。その意味では、ABTの経営陣のもくろみは成功した。
バレエダンサーの私生活は意外と地味なものだが、ミスティだけはブロードウェイのゲスト出演、自伝の出版、コマーシャル出演と景気の良い話題ばかり。ついには彼女とオバマ大統領との会談も実現したようである。