「What’s your favorite Omakase?」
ニューヨークのスカイライン(iStock)
ニューヨ―カ―の間で流行る“Omakase”
そう聞いてきたのは、友人のエドワードだった。食べることが大好きで、彼のFBウォールにはいつも料理の写真がたくさん並んでいる。
このOmakaseという単語、アメリカ人が発音すると「オメケーセー」に聞こえるので、何度か聞き返すはめとなった。エドワードのいう「オメケーセー」は、「おまかせ」。要するに、Japanese restaurantのOmakaseコースのことだった。
SushiやSashimiはもとよりWasabi、Shiitakeや Tofuなど、日本語がそのまま英語化された言葉は特に食関係では少なくない。このところニューヨーカーの間で流行っている新しい日本語が、このOmakaseなのである。
ニューヨークマガジンやタイムアウトなどのレストラン紹介セクションでも、毎回必ずと言って良いほど、Omakaseという単語が登場する。
いまやニューヨークのグルメ文化は、和食を抜きにしては語れないのだ。
でも本来のアメリカ人の食生活は、「おまかせ」などあり得ない、徹底的に個人が選ぶ習慣だった。
レストランに入って「ハムサンドイッチ、プリーズ」と言っても、すぐに出てくると思ったら大間違い。「パンの種類は」に始まって、「ハムは何ハムか」「マヨネーズ、マスタードはつけるか」「レタスとトマトは」「パンはトーストするかしないか」というように延々と質問は続く。
英語に自信がないうちは、頭を使いすぎて血糖値は下がるしおなかは空くしで「何でもいいから、何でも食べるから、早く持ってきて!」と悲鳴をあげたくなった。