WEDGE REPORT

2016年7月1日

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ソーラーシティ躍進を恐れる電力会社

 ただしそこはマスク氏のこと、何らかの勝算あってのことでは、との声も当然ある。そこで困惑しているのが従来型の電力会社だ。テスラがソーラーシティのバックにつけば、太陽光パネルが一気に伸びる可能性は皆無ではない。そうなった場合、電力会社がさらに収益を落とす危険性がある。

 米国の電力会社は、今年に入り次々に太陽光パネル設置家庭への電力料金値上げを発表している。理由は「太陽光を使っていても100%の電力は供給できず、従来電力にも頼る必要がある。そのため太陽光発電を取り入れている家庭も電力基本料金などを負担すべき」というものだ。ネバダ州の電力会社が値上げを実施したため、ソーラーシティが同州から撤退する、という事態まで起きた。

 電力会社にしてみればグリッドや保線などのコストがかかるのに、太陽光発電により電力売り上げが減少し、電力値上げに踏み切らざるを得ない。太陽光パネルを持つ家庭や企業がそうでない家庭や企業よりも優遇されるのはおかしい、ということになる。

 一方でクリーンエネルギーを推奨しつつ、クリーンエネルギーが増えすぎると経営が立ち行かなくなる、という矛盾だが、早くもソーラーシティの躍進を恐れる電力会社も出始めている。

 もしテスラモデル3が年間10万台単位で売れ、それに伴いバッテリーチャージのためにソーラーパネル設置が進めば、米エネルギー勢力図は大幅に変わることになる。マスク氏の「グリーン帝国」の完成だ。しかしテスラ、ソーラーシティが共倒れになれば、現在のEV化への流れにも影響が出る結果となるだろう。マスク氏の壮大な賭けは、果たして吉と出るのか凶と出るのか。

  
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