2024年11月23日(土)

解体 ロシア外交

2016年7月12日

ロシア選手たちは五輪に参加できるのか

 こうして、ロシア選手のリオデジャネイロ五輪への参加問題が焦眉の問題となったわけだが、6月17日に国際陸連はウィーンで臨時理事会を開き、組織的なドーピング問題で資格停止中となっていたロシア陸連が必要な対策を十分にとっていないとして、処分を解除しないことを決めた。そのことは、ロシア選手がリオデジャネイロ五輪に参加できないことを意味した。

 個人資格で潔白が証明できれば、五輪への参加は認められることになったが、女子棒高跳びで世界記録を持つイシンバエワなど、ロシアの旗のもとでなければ出場しないと主張する選手も出てきた。

 これを受けて、国際オリンピック委員会(IOC)は、国際陸連の決定を支持したが、21日に、ドーピングをしていないロシア選手の救済策について、「ロシア国外」の確たる組織が行う新たな検査で潔白を証明できるなら、個人参加ではなく、ロシア選手団の一員として、五輪参加を認めるという方針を示した。加えて、陸上以外の競技でも、出場を希望するロシアの全選手に、国外で同様の信頼がおける検査で潔白を証明するよう義務付けることになった。

 ムトコスポーツ相も、全ロシア選手がそのような検査を受ける用意があるとしつつ、IOCの決定を評価した。その陰で、前述のドーピング検査機関元所長で米国に亡命したロドチェンコフに対する禁止薬物取引疑惑での捜査が行われていた。ロドチェンコフは多くの内情を暴露し、そのことが陸連の決定にも響いているのは当然であり、ロドチェンコフに対する告発は報復に他ならないという。

 こうして、ロシア選手の資格として無実を訴えつつ五輪参加を目指す選手が出てきた一方、ドーピングを告発した前述のステパノワは欧州陸連の旗の下で、国旗や国歌を使えない「中立の選手」としての参加を目指すなど(ただし、怪我もあり出場が危ぶまれている)、ロシア選手たちに五輪参加の可能性が生まれたのである。

 だが、状況はまだ流動的だ。ロシア五輪委員会は、これらの決定にやはり納得できていない。7月2日に、ロシア五輪委員会は、68人の選手とともにスポーツ仲裁裁判所(CAS)に決定に対する不服を提訴した。68人の選手には、前述イシンバエワや男子走り高跳びのウホフなどが含まれている。CASによる結論は、7月21日までに出される予定である。

*ロイター通信などの報道によると、10日、国際陸連がロシア67選手の個人資格での参加申請を却下したとのこと。タス通信によると、この中にはイシンバエワも含まれている。


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