田部康喜のTV読本

2016年8月6日

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田部康喜 (たべ・こうき)

コラムニスト

福島県会津若松市生まれ。幼少時代から大学卒業まで、仙台市で暮らす。朝日新聞記者、朝日ジャーナル編集部員、論説委員などを経て、ソフトバンク広報室長に就任。社内ベンチャーで電子配信会社を設立、取締役会長。2012年春に独立、シンクタンク代表。2015年10月から東日本国際大学客員教授として地域振興政策を研究、同大・地域振興戦略研究所副所長を兼務。

 日本側からも、これまで明らかにならなかった証言が得られた。丸紅ルートのなかで当時、航空機課長だった人物の証言である。

 「田中角栄への5億円は、自分がロッキード社に出させることを提案した。その目的は、全日空にトライスターを買わせるダメ押しと、P3Cにいろいろと力を注ごうというものだった。P3Cの取扱高は巨額で、口銭(手数料)も膨大だからだ」

なぜ軍用機疑惑は解明されなかったのか

 ロッキード事件がなぜ、軍用機疑惑の解明まで達しなかったのか、トライスターの導入ということにすり替わった形となったのはなぜか。

 コーチャンの証言をとる捜査に携わった検事だった、堀田力は次のようにいう。

 「P3Cをめぐってお金を上手に作る手口は証言が取れている。しかし、カネの流れがどうなっているのかは、こちらがやらなければならなかった。それが、深い闇に阻まれた」

 ロッキード事件の発覚直後、駐日米国大使のジェームズ・ホッジソンは本国に、事件に関して13回も極秘電を送っている。そのなかで、次のような一節があった。田中内閣の退陣の後を継いだ三木武夫内閣ではない、非公式のルートから、次のような申し出があったというのである。

 「三木内閣が米国に求めている(ロッキード社からカネをもらった)高官の名前を明らかにするのは慎重にして欲しい。名前が出れば日本は混乱し制御できなくなる」

 ロッキード事件は、ロッキード社というひとつの民間企業の裏の営業行為にとどまらず、国家間の防衛、同盟関係にまで及ぶ力学が働いていた。

 再放送は必見であり、書籍化を期待したい。

  
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