2024年11月22日(金)

田部康喜のTV読本

2016年8月6日

 日本の首相経験者が初めて逮捕された、ロッキード事件から40年が経つ。受託収賄罪と外国為替管理法違反の容疑で、田中角栄が逮捕されたのは1976年7月27日である。

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 ロッキード社から田中に渡った5億円は、全日空が民間機トライスター機を採用する見返りだった、とする田中の裁判は死によって最高裁の上告の結論はでなかった。しかし、共犯とされる秘書の裁判は最高裁で有罪が確定しており、事件は終結したというのが常識であった。

 そしていま、「角栄ブーム」である。石原慎太郎の小説「天才」がベストセラーになり、角栄の語録なども出版されている。

 未解決事件シリーズは、第1部(7月23日)と第2部(同日)で再現ドラマによって、事件を振り返り、第3部「日米の闇 40年目のスクープ」(7月24日)のドキュメンタリーによって、いよいよ事件の真相に切り込んでいく。

 ロッキード社から日本の政財界に流れたカネは3つのルートによる。丸紅を通じて角栄に流れた「丸紅ルート」と、全日空を通じて政府高官に流れたとされる「全日空ルート」そして、戦中からの右翼の大物であり、ロッキード社の代理人だった児玉誉士夫を通じた21億円のルートである。児玉ルートは当時、まったくといってよいほど解明がなされなかった。

 今回の番組によるスクープは、これまで秘匿されていた資料や日米で約100人の証言からロッキード社が日本の政財界に流された資金の目的は、民間機のトライスターの売り込みにあったのではなく、対潜哨戒機のP3Cと早期警戒機のE2Cが焦点だったことを明らかにしたことである。


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