今回、グーグルとの問題で中国が強硬な姿勢を示せば、それは中国の人々がネットによって得た力に制限を加えるという図式に陥りかねない。だが、かといって毅然とした態度がとれなければ雪崩現象が起きる可能性もある。年間の暴動やデモが頻発する中国では、それも政権にとっては命取りである。
藪を突いて出てきた蛇を中国がどう扱おうが、中国の言論環境が大きく前進するか後退するかのきっかけとなることは間違いなさそうだ。中国側は、ここにきて自らも「サイバー攻撃の被害者」との妙なロジックを持ち出しているが、やはりこの問題はあいまいなままフェードアウトするのが最善の策と考えているのだろう。
※次回の更新は、1月27日(水)を予定しております。
◆本連載について
めまぐるしい変貌を遂げる中国。日々さまざまなニュースが飛び込んできますが、そのニュースをどう捉え、どう見ておくべきかを、新進気鋭のジャーナリスト や研究者がリアルタイムで提示します。政治・経済・軍事・社会問題・文化などあらゆる視点から、リレー形式で展開する中国時評です。
◆執筆者
富坂聰氏、石平氏、有本香氏(以上3名はジャーナリスト)
城山英巳氏(時事通信社外信部記者)、平野聡氏(東京大学准教授)
◆更新 : 毎週水曜
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