2024年4月22日(月)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2016年8月30日

「握手」「牽制」と同時戦略

 「握手」の裏の「牽制」—。日中関係において、中国側は表向き日本と対話に積極的と思わせながら、尖閣周辺に船を送り込み、対話をぶち壊そうとする動きは多々起こった。日本政府側からすれば、「一体、どっちが本音なんだ」といぶかる事態がしばしば起こる。

 中国の対日外交は、共産党指導部内の権力闘争と深く関係していると言われる。抗日戦争勝利の結果、共産党が政権を獲得したという歴史的経緯から、保守派は共産党の正統性保持のため「対日接近」の動きを牽制する傾向にあるためだ。

 「握手」と「牽制」の同時展開は、指導部として戦略として実行しているのか、それとも内部の意見対立の上の結果なのか、よく見えないのも事実だが、大量の漁船と公船が同時に尖閣周辺に出現した8月5日以降の動きは、こうした歴史的経緯を見れば、多少は理解しやすい。

 王毅率いる中国外務省は、次期駐日大使の呼び声が高い「日本通」で、王毅が最も信頼を寄せる部下の孔鉉佑・外務次官補(アジア担当)を、日本に派遣し、日中韓外相会談に合わせた王毅訪日について調整させる意向だった。目の先にあるのは、杭州で9月4〜5日に開くG20首脳会議の成功だ。

 「習近平外交」はなすこと失点続きだった。南シナ海仲裁判決で全面敗北し、最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の在韓米軍配備で韓国との関係も緊張している。このまま国際孤立が深まれば、習近平の威信を誇示するG20首脳会議で「対中批判」も出かねない。


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