2024年7月16日(火)

障害と共に生きる~社会で活躍するチャレンジド

2016年10月4日

初瀬:悪い奴だったんですか。いじめられていた子は「あの野郎!」って絶対に覚えていますからね。同窓会には行って下さいよ。

鈴木:障害があるから、必ず大人たちは味方をしてくれるんです。たとえば、僕がウソを言ったとしても周りの大人たちは僕の方を信じてくれるんです。それを良いことに、やりたい放題の小学校の高学年でした。

 体育だって本当はできたんです。歩けるんだから100メートル走だって歩いてゴールすればいい。それは本来出来ることに値するんです。だけど、面倒くさいので、できないと言い張ってやらない。障害者なんだからやらなくていいでしょみたいな感覚でした。

初瀬:小学校も高学年になるとかなり大人ですから、周りにいる人たちの反応をわかってやっていたんですね。素直じゃないのは、まだ障害を受け入れていなかったからかもしれませんよ。

 鈴木さんの言葉を借りますが、その嫌なヤツが、いつ頃から変わっていくんですか。

鈴木:当時僕が住んでいた学区からは、ほんの一部しか同じ中学校に行かなかったんです。だから、今までいじめていたとか、いじめられていたとか一切無くなって、新しい仲間が出来て全てリセットされた感がありました。

初瀬:人間関係が一新されて良い人デビューみたいな感じですか。楽しい中学時代を送れましたか。

鈴木:友人に恵まれていましたので中学校は楽しかったです。写真部に入ったのですが、大好きになってのめり込みました。高校の3年間も写真部でした。

 妙なところでプライドだけはある人間だったので、サポートを受けることもなく、自分のことは何でも自分でやりたいっていうのがあったんですよ。障害者だから周りに何か頼むっていうのはあんまり好きじゃなかった。

初瀬:障害によっても違うんでしょうね。僕みたいに視覚障害になってしまうとどうしても周りの人に見てもらうとか、読んでもらうとか、聞くことが増えるんです。何か物を買うにしてもお札を出して、「これいくらですか」と聞かなくちゃいけない。目が見えなくなるとお願いをしたり、すみませんと言ったりすることが増えるんです。そんなことが多いので卑屈になってしまうんです。

鈴木:視覚障害はそうなってしまいますね。幸いに僕の場合はそういうことがなくて、幼いころから自分の意志をはっきり口に出して行動するという、親の厳しい教育があったので、よくも悪くも自分の考えを周りに伝えられるようになりました。

 そのせいか子どもの頃からリーダーシップを取りたがって、自分の考えで周りを動かすような立場を好んでいました。

初瀬:親の教育方針によって自立心が育っていったということですね。難しいことかもしれませんが、障害を持つ子には大切なことです。

鈴木:自立心、いい言葉ですね。障害者には大切なことです。僕は周りに巻き込まれると言うよりも、自分が周りを巻き込んでいきたいという性格です。クラスではよく学級委員をやりましたし、中学も高校も写真部では部長をやっていました。委員会でも委員長をやっていました。

初瀬:鈴木さんは自分の意志でしっかり歩んでいけることを体現されていますから、障害のあるお子さんを持っているご家庭には力強い後押しになりますね。


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