2024年11月25日(月)

金融万事 塞翁が馬

2016年10月13日

退職後の資産運用は大きな課題だが、進化に期待

 ロボアドバイザーに限らず一般的にフィナンシャル・アドバイザーは(資産形成期である退職前に比較して)退職後のアドバイスが難しいと口を揃える。退職を境に給与収入だけでなく、年金システムを利用した資産形成もなくなり、一気に資産保全やリスク回避の必要が高まる。出費傾向も生活スタイルとともに変化し、フィナンシャル・プランの再検討が不可欠だ。2015年に60歳だった人の平均余命は約20年(世界保健機関=WHO調べ)だが、健康平均寿命はもっと短い。ある程度余分を設けたプランを立てざるを得ないが、その困難は安易にイメージできる。

 BettermentやNutmegでは、目的別資産形成アプローチや統計データを利用したアルゴリズムで退職後の資産運用市場も対象にしているが、変数が多すぎて、まだ(非ロボに対して)胸を張る事はできないようだ。ただ、5〜10年で目を見張る進化があるロボアドバイザー業界、各ユーザーの健康状態や活動状況を最近流行のブレスレットや時計型のヘルスモニターからアップロード、人間ドックの結果に合わせて運用を調整などというのも決して夢物語ではない。

複雑なアルゴリズムを分かりやすく比較説明?

 サービスも多種多様になりつつあるロボアドバイザーだが、ユーザーはどういう基準で自分に合ったものを選ぶのだろうか? 重要な要素である投資アルゴリズムの特性やその能力の横比較は困難を極める。ユーザーが各社のサービスを検討する上で横比較ができる定量的な情報が必要であり、特に貯蓄をくずして投資に促したい日本でその効果は高く、楽ラップも今後の成長に重要な要素として挙げている。

 欧米のロボアドバイザーにはその投資アルゴリズム(全部または部分的)を開示しているものも多く、日本でも必要があれば開示したいとの声も複数聞いている。開示されたアルゴリズムを的確かつ簡易に比較する手段が今後重要となってくる。

おことわり:本コラムの内容はすべて執筆者の個人的な見解であり、トムソン・ロイターの公式見解を示すものではありません。

  
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