2024年11月22日(金)

海野素央のアイ・ラブ・USA

2016年10月13日

無党派ジレンマ層

 研究の一環として南部バージニア州フェアファックス市にあるクリントン選対に入り1カ月以上にわたり戸別訪問を実施してきました。2012年米大統領選挙においても同地域を訪問しました。その結果、12年と16年の大統領選挙における有権者の意識の相違が明確になりました。

 前回の米大統領選挙では戸別訪問の際、有権者名簿にリストされている標的となっている有権者はどちらの候補を支持するのかを積極的に述べました。ところが、今回の選挙では、両候補の間でジレンマを抱えている無党派層がいるのです。彼らは次のように語ります。

 「今回の選挙は悲しい選挙です。トランプもヒラリーも強いリーダーではありません。クリントン家がもう一度ホワイトハウスに戻るのは望んでいません。緑の党に投票をしようと考えているのですが、トランプを利することになりますから、大きなジレンマを抱えています」

 「私はトランプがアメリカとメキシコの国境に壁を建設すると言っていますが反対です。ヒラリーはシリア難民受け入れを主張していますが反対です。テロリストが国内に入る可能性があるからです。2人の間でジレンマに陥っています」

 ジレンマに向き合っている無党派層、即ち「無党派ジレンマ層」が、トランプ・クリントン両候補に対して相次いで発生するオクトーバーサプライズの中で、どの要素を重視して投票するのかがポイントになってきます。彼らは心理的葛藤を持っている無党派層でもあり、「無党派葛藤層」とも呼べます。トランプ・クリントン両候補の立場に立てば、テレビ討論会を通じて無党派層のジレンマを解き、葛藤を解決することが極めて重要になっているのです。


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