第3回目のテレビ討論会の課題
10月19日に行われる第3回目のテレビ討論会では、フォックスニュースの男性キャスターが司会を務めます。フォックスニュースは、一言で言えばトランプ候補の応援団です。クリントン候補に対して司会者がメール及びクリントン財団の問題から非公開の講演内容まで多岐にわたりこれまで以上に厳しく追及する可能性があります。
討論会の会場は西部ネバダ州ラスベガスにあるネバダ大学に移ります。エマーソン大学(東部マサチューセッツ州)が10月6日に発表した世論調査によりますと、トランプ・クリントン両候補の支持率は共に43%で同州では大接戦になっています。米国国勢調査局のデータ(2013年)をみますと、同州ではヒスパニック系が人口の27.5%を占めています。ちなみに、激戦州オハイオ州は3.4%、バージニア州は8.6%です。最終回の討論会では、両候補は同系をかなり意識した発言をするでしょう。
討論会における両候補の課題についても触れてみます。
第3回目のテレビ討論会において、クリントン候補は若者に訴える必要があります。というのは、ウィキリークスにより、自由貿易体制賛成とウォール街との密着が暴露され、バーニー・サンダース上院議員(無所属・バーモント州)の若者票が逃げる可能性が高まったからです。他方、女性を見下した発言をしたトランプ候補は、大統領の資質についてこれまで以上に問われることは回避できません。
第2回目のテレビ討論会の最後にトランプ候補は「ヒラリーは決して諦めない。彼女はファイターだ」と称賛しました。額面通り受けとめればクリントン候補に対する称賛ですが、女性蔑視の発言にもかかわらず自分も戦い続けるというトランプ候補のメッセージでもあります。同候補の立場に立てば傷ついた名声を高めようと、第3回目のテレビ討論会に臨むでしょう。
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