2024年12月19日(木)

古希バックパッカー海外放浪記

2016年11月13日

 それぞれの売り子が自分に割り当てられた営業地域の範囲のなかで販売活動をしているようである。交差点の角に陣取っている売り子は動かずに通行人や車のドライバーから声が掛かるのをまっている。赤信号になると信号待ちのドライバーから次々と声が掛かる。手際よく水や煙草などの商品を先にドライバーに手渡して代金を後から回収してゆく。一回の赤信号で少なくとも数台から注文を受ける。車道が青信号になると逆に信号待ちしている歩行者に声を掛けて品物を捌いてゆく。非常に効率の良い商いだ。

 他方で広場を担当している売り子はベンチや噴水などでたむろしている若者たちを順番に回って注文取りをしている。ビール、コーラ、タバコが飛ぶように売れてゆく。欧米系の若者たちは夜明かしするので飲み物やタバコを追加注文するので同じ場所を巡回していても結構な商売になるようだ。

クレタ島のビーチリゾート

効率的なビジネスモデルの胴元は誰か

 看板の仕様、商品ラインアップ、それぞれの単価が同一である。同じ胴元が商品をまとめて仕入れて売り子に卸して売れた分の卸単価で代金を回収するシステムのようだ。広場を巡回している売り子の少女が一服しながら休憩していたので中国語で話しかけたら、この一帯で物売りしているグループは福建省出身で20人くらいの組織という。彼女は20歳で故郷の友人を頼ってマドリードに来たという。20人は全員近くのアパートの一室で暮らしているという。一家族が暮らすようなアパートの床に布団を並べて雑魚寝している様子が目に浮かんだ。

 毎日午後10時過ぎから営業を始めて朝の6時くらいまで続けるという。この深夜時間帯は街角の雑貨屋も全て閉まっており、開いているのは24H営業のマクドナルドくらいである。他方で大都会マドリードにはドライバー、配送人、清掃人などの夜勤族、都会の夜ふかし族、夜明かし観光客などがおり飲み物、タバコなどに一定の需要がある。

 最小投下資本で資金回転率の高い現金商売を同郷出身者の信頼できる仲間内で地域独占営業するというビジネス・モデルである。マドリードの他の繁華街でも応用できるし、コンビニチェーンのない欧州の観光都市でも展開可能なビジネス・モデルである。

 広場のベンチでビールの酔いを醒ましてから少し歩いて売り子の少女に教えてもらった格安ホテルにチェックインした。


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