本書は一方で、日本を非難するだけで終わらせず、アメリカ軍が1945年3月の東京大空襲で引き起こした惨事も忘れない。
This firebombing of Tokyo, known as Operation Meetinghouse, is the most horrific bombing in history, far deadlier than the recent Dresden attacks---or any other bombing of the Second World War.
「東京大空襲(ミーティングハウス作戦として知られる)は史上もっとも恐ろしい爆撃だ。当時のドレスデン空爆や第二次世界大戦におけるいかなる爆撃よりもひどいものだった」
トルーマンを支持した父ブッシュ
本書はアメリカの大統領やマッカーサー将軍、マンハッタン計画のもと原爆開発を急ぐ科学者たち、日本の昭和天皇の動きも織り交ぜながら、アメリカが原爆を日本に投下するに至る経緯を追っていく。筆者のビル・オライリーは第二次世界大戦末期に米海軍の少尉だった自分の父親も登場させる。アメリカが原爆を投下せず、日本本土への上陸作戦を決行していたら自分の父親は戦死していた可能性が高く、原爆のおかげで今の自分の生があると述べる。
筆者のオライリーはさらに、歴代の大統領たちに、原爆投下を決めたトルーマン大統領の決断をどう評価するか問い合わせている。ジミー・カーターや父ブッシュ、息子ブッシュからそれぞれ書簡で回答を得たといい、その手紙のコピーを巻末に掲載している。ちなみに、ビル・クリントンとオバマ大統領は回答を断ったという。
最後に、父ブッシュの手紙から引用して本稿を締めくくりたい。これがアメリカの一定の世代に共通する考え方なのかもしれない。
I think Harry Truman did the right thing. Thousands of Americans would have died invading Japan. Maybe even me. (中略)So would I have done the same thing? I think so. At that time, it was the right decision. tough but right.
「わたしはハリー・トルーマンは正しいことをしたと思う。日本への上陸作戦を実行していたら何千人ものアメリカ人が死んだだろう。おそらく、わたしもだ。(中略)わたしなら同じことをしだろうか? わたしはそう思う。あの時には、そうすることが正しい決断だった。大変な決断だが、正しい決断だ」
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