世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年11月4日

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 この社説は、トルコの現状を良く描写しています。エルドアンの粛清はギュレン派のみならず、ギュレン師には関係がない人にまで及んでいることが、解雇された教師や公務員についての断片的な情報で確認されています。ギュレン派とされている人にもクーデタについては無実な人もいるでしょう。エルドアンの粛清、弾圧は度を越しています。

絶望的なEU加盟

 トルコのEU加盟は近い将来、実現の可能性があったわけではありませんが、今はほとんど絶望的になったと思われます。イスラムの人口大国であるほかに、民主主義的ではないと欧州人が考えれば、加盟はありえないでしょう。結果として、トルコは欧州国家であるよりも、ますます中東のイスラムを基礎とする国になっていくように思われます。ケマル・アタチュルクの世俗主義も終焉を迎えることになるでしょう。

 ただ、トルコは地政学的に欧州と中東、ロシアと中東の間に位置する重要国です。シリア問題、シリアからの難民問題、イラク問題(モスルをイスラム国から奪還した後、シーア派民兵の出方によっては、トルコは介入する恐れがあります)、クルド問題などへの対処において、トルコの役割は必要、不可欠です。

 エルドアンの国内政策には注意しつつも、トルコのNATO加盟国としての地位、親西側路線が維持されるように、努めるしかないように思われます。

 トルコは親日的な国です。日本は対トルコ政策をよく考え、欧米とトルコの考え方の差を埋める努力をしてみるのも一案でしょう。エルドアンの懸念に配慮し、トルコ情勢を見つつ、非常事態の早期終結と法の支配の復活、事態の正常化を求めていくことが望ましいのではないかと思われます。

  
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