ライリー氏は「2020年の技術ロードマップ」として以下を挙げた。
1、現在のプライベート・クラウドを改良することで、銀行が現在、そして将来必要とするデジタル・インフラストラクチャーを提供する。
2、同社のデータ・プラットホームを最新化することにより、より深い顧客との関係を構築すると同時に増収とリスク軽減を目指す。
3、ソフトウェア・デリバリー・マネジメント分野でコンポーネントに根ざした開発へとシフトする。
4、現在のカスタム中心のアプリ開発を標準化されたものに1本化し、管理を効率的かつ一定のものへとシフトさせる。
窓口業務の8割をオンライン化
デジタル・インフラとは、究極には「現在銀行が提供する窓口業務の8割をオンラインで済ませられるようにする」ことを目標とする。小切手入金の手続きも、現時点で自宅でスマホで小切手を撮影、画像を送信することで行える、という銀行が増えている。
金銭を扱う機関だけに、最大の問題となるのがセキュリティだ。クラウドに侵入され、顧客の預金が流出する、という問題は絶対に避けなければならない。顧客にとって扱いやすいインターフェイスで、デジタル・ウォレット(電子マネー)にも対応でき、安全に預金管理から投資までを行える1つのプラットホーム作成が最終的な目標となるが、そこまでたどり着くにはあと数年はかかる。
しかし、BofAMLのデジタルサービスは米の銀行の中ではトップであり、同社CIOハリ・ゴパルクリシュナン氏は「顧客は我々のデジタルサービスを他の銀行ではなく、Uberやアマゾンと比較する」とインフォメーション・ウィーク誌のインタビューに答えて語っている。AIやデジタルコンテンツ、クラウドなどを提供する企業はこうした伝統的大企業の社内開発とも今後競う必要があり、それが最新のデジタル技術をさらに発展させることになりそうだ。
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