鉱工業生産は2012年以来ガタガタだ!
業種別の工業生産では自動車は20%以上の伸びで、電力エネルギーでも前年度比7%以上の伸びである。ところが、鉱工業はまだマイナス成長が続いている。2016年第1四半期も第二四半期も推定では2%位のマイナスである。リーマンショック後の景気浮揚策の後始末が、未だに市況の足を引っ張っているのだ。過剰生産能力、過剰在庫、過剰債務が元に戻るにはさらに数年は必要だろう。鉄鋼、非鉄、レアメタルと何れも同じ構造で世界市場への影響も無視できない。
毎年10月になるとレアアースの国際会議が行われるが、今年は浙江省の杭州で行われた。レアアースは2010年の尖閣諸島問題から始まった中国政府の輸出禁止による大暴騰を経て2011年の大暴落を経験した。以来、一貫して市場環境は改善せず2016年も低迷からは脱してはいない。
鉱工業生産についてもほぼ全ての鉱産物が資源不況から脱することなく低迷を続けている。杭州の国際会議では日本市場と中国市場の協力関係について講演をしたが、市場の回復の要素が見つからないため、2017年度も引き続き厳しい市場予測をせざるを得なかった。希土類に限らず生産者物価は12年以降今年まで50カ月連続して前年比マイナスで推移している。政府が市場の統合を指導しても抜け駆けをする業者がいなくならない限り低迷は続くといわざるを得ない。
一方、全般的な中国の製造業の統計では、製造業PMI(購買担当者景気指標)も拡張・収縮の境界となる50%を超えてきており、製造業では今後の予想指数が60%近い水準を回復するなど改善の兆しも見えてきている。
貿易の動向や対中投融資はどうなっているのか?
中国からの輸出は人件費のコストアップによる中国製品の輸出競争力が低下しているために不振が続いている。一方、輸入も国内需要の落ち込みから購買力が低下しているために低水準に推移するだろう。ただ直近の数字で判断する限り2015年度と比較すると貿易額は減少しているが、ドルベースの輸出額では、今年の7-9 月期は同前年期比で6.3%減と、1-6 月期の同8.2%減からマイナス幅が少しだけ縮小した。
特に明るい兆しが見えたのは、今年の前半には欧米からの情報通信や金融業などの分野の投資が拡大したことだ。総額では前年同期比で約80%の増加を示した。一方、中国企業の金余り傾向から対外直接投資は同期比53.3%と大幅に拡大している。