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2016年11月3日

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中西 享 (なかにし・とおる)

経済ジャーナリスト

1948年岡山県生まれ。72年共同通信社に入社。88年から91年までニューヨーク特派員、経済分野を取材し、編集委員を経て2010年に退社。現在は経済ジャーナリスト。著書は「ジャパンマネーの奔流―ニューヨーク・東京・ロンドンの24時間」(1987年、ダイヤモンド社)、「日本買い 外資は何を狙っているか」(2005年、PHP研究所)など。

需要増に対応して増産体制

 今年9月までの日系メーカーの販売実績を見ると、トップは日産の92万9000台で前年同期比8.2%増加、次はトヨタの89万台で同12.3%増、ホンダは87万2000台で同25.5%。伸び率からみるとホンダが際立っている。31日に発表した2016年度上期(4-9月)のホンダの決算では、円高による為替のマイナス影響はあったものの、新型車の投入とコストダウン努力により営業利益は前年同期比で22.5%増益となった。四輪事業では国内の縮小、米国と欧州の微増という環境の中で、中国市場での大幅な伸びが収益を支える最大要因になった。これまで収益源となってきた米国市場は利益率が落ちてきており、16年通期の見通しでもアジア市場、とりわけ中国依存になっており、しばらくは中国頼みの業績になりそうだ。

 決算発表した倉石誠司副社長はその理由について「中国で新しく発売した『シビック』のほか、『ヴェゼル』『XR-V』『アキュラ』など新しいモデルを出したのが販売増につながり、前期と比べると40%増くらいの勢いだ。足元の経済の減速もそれほど影響はないのではないか。小型車減税が年内で終了しても、ホンダで対象となる車は少ないのでマイナスは小さいだろう。今後は内陸部を中心にまだ伸びる。しかし、中国リスクがあるので、慎重に進めたい」と指摘、今後も中国市場での販売増が続くのではないかとの見通しを示した。

 これを受けてホンダは、2019年ごろの稼働を目指して湖北省武漢に合弁会社の「東風ホンダ」が新工場を建設する。昨年に新工場を建設する計画だったが、経済の減速を受けて見送っていた。しかし、販売好調が続いていることから需要の増加に対応して生産能力の増強が必要と判断して、新工場の建設を決断した。

 ホンダは、南部の広州市に広汽自動車と合弁の「広汽ホンダ」の工場が3つある。これに加えて武漢に「東風ホンダ」の工場があり、4つ合わせると年間113万台の生産能力がある。一方、現在、日系メーカーの中で中国最大の生産能力のある日産は、東風自動車との合弁工場があり年間135万台。ホンダの新工場の生産能力は明らかにされていないが、フル稼働すれば能力的にはホンダが日産と肩を並べることになる。トヨタは17年には広州市南部にある「広汽トヨタ」の生産ラインを増強する計画で、これらが稼働すると年間105万台の生産体制になる。こうした増産体制により、今後は中国市場での日系ブランド間の競争は一段と激化しそうだ。

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