2024年11月22日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年11月16日

 イグネイシャスが指摘する通り、金正恩が核・ミサイル開発を強力に推進し、中国がこれを許容する状況が継続すれば、次期米国大統領は不快な軍事的選択に直面する他なくなるかもしれません。

必要なことは制裁の強化

 国際社会がまず取り組むべきことは制裁の強化です。9月9日の北朝鮮の5回目の核実験に対する国連安全保障理事会の制裁措置はいまだに決まっていません。制裁強化に消極的な中国に対する説得努力を続ける必要があります。なお、9月下旬に米国政府が中国丹東市の貿易会社とその役員4名を北朝鮮の大量破壊兵器計画に関与したとして制裁対象に指定したケースでは、事前通報を受けた中国当局が同社の幹部らを拘束し捜査を行っていると伝えられています。

 北朝鮮の核・ミサイル能力の向上に備えて米韓の「拡大抑止」能力の強化が不可欠です。米韓両国は10月10日から15日まで韓国近海で定例の合同海上訓練「不屈の意志」を米国の原子力空母も参加する史上最大の規模で実施し、10月18日にはワシントンで米韓外務・防衛担当閣僚会議(「2+2」)が開催されました。韓国の韓民求国防相は、10月14日の国会答弁で日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)について「軍事的必要性を十分認識している。必要性が高まった」と述べています。

 一方において、北朝鮮との対話の道を閉ざさないことも重要です。18日、北朝鮮の韓成烈外務次官が北京に到着しましたが、近く東南アジアで米国政府の元高官らとも会談すると伝えられています。

  
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