「リレーって知ってる?」
「知ってる、知ってる!」「棒を持って走って、次の人に渡していくの」「それは棒じゃなくて、バトンって言うんだよ」「そう、それだね・・・」と、口々に『リレー』について話す子どもたち。
「次の人って? どういうこと?」と、とぼけた調子で質問する先生に、「例えば3班だったらね、僕が走り終わったら次の奏ちゃんにバトンを渡して、それで奏ちゃんが今度は・・・」と真剣に説明してくれた悠翔くん。
「じゃあ、班の仲間がチームってこと?」と聞くと「そう!」と答える子どもたち。「それで速い班の勝ち!」ということで、さっそく『リレー』をやってみることにしました。 風2組 学級通信「麦」より
年長児クラスの10月、風の谷幼稚園では「リレー」の取り組みが始まる。リレーといえば幼稚園や小学校の運動会メニューの定番中の定番だが、この取り組みに秘められた教育意図は奥が深く、未来を見据えたものだ。今回はこの活動を紹介していこう。
ルールをつくる理由って何だろう?
さて、冒頭のエピソードにもあるように、まずは子どもたちに「リレーとはどんなものか?」を考えさせるところから始まるのが“風の谷流”だ。「リレーとはこうやるもので、こういうことを守って、さあ、やりましょう」といった具合にカリキュラムが進行することはない。
年中児時代に年長児たちの姿を見て「なんとなく」のイメージはあるものの、「具体的にどうしたらいいのか」はよくわからない状態だ。そこで、先生は子どもたちが思いついた通りにリレーの実技を進めていく。この様子を学級通信から見てみよう。
①直線を走り、先生が立っている所をグルッと回ってきて次の人に代わる、という人と、②トラックを1周走って次の人に代わる、という人がいたのですが、とりあえずは①の方法でやってみました。
私は、というと子どもたちに言われるがまま「この辺でいい?」と子どもたちから離れた所に1人ポツンと立ち、リレーの行方を見守ることに・・・。
「ヨーイ、ドン!」 スタートです。「頑張れー!」「行けー!」と応援にも熱が入ります。私を目がけて走ってくる表情も、真剣そのもの。次々に、バトンが渡されていきます。
“そろそろ終わる頃かな”と思っていたのですが、白熱した応援は続き、なかなか終わりません。そんな中、「よし、これで終わり!」と最初に走るのをやめたのは4班。それを聞いてか、1、2班もなんとなく“終わりなのか”といった感じで終わりに。そして、仲間に押し出された感じで1人走ってきた悠翔くんは、私の所まで来ると「もう終わりのはずなのにさ、みんなが行けって言うんだよ・・・。おかしいなぁ」とブツブツ言いながら走り去っていきました。
おかしくて、おかしくてたまらない先生と「終わった!」「俺たちが1位!」と満足感いっぱいの子どもたち。さて、勝敗の行方はいったい・・・? 風2組 学級通信「麦」より