司法長官は差別主義者か
司法長官に指名されたセッションズ上院議員もイスラム教徒には容赦がない。トランプ氏が選挙中に言った「イスラム教徒の一時入国禁止」の方針を支持、「イスラムの根底には有害な思想がある」と主張した。ポンペオ次期CIA長官も下院議員当時、モスレム同胞団の非合法化法案を上程するなどイスラムには厳しいことで知られている。
セッションズ議員は1986年当時、上院司法委委員会で連邦判事の承認を拒否された経緯がある。市民権グループに対する差別的な発言が問題となり、また「KKK」(クー・クラックス・クラン)に賛意を与えたと疑われて承認に待ったがかかった。
次期政権の公約や方針の策定に強い影響力を行使すると見られるバノン首席戦略官は差別的な発言でオバマ大統領らからも批判されているが、政権中枢のメンバーの顔ぶれから見ると、トランプ政権ではタカ派姿勢が前面に出る可能性が強いだろう。
ロムニー氏に国務長官打診?
次の人事の焦点は次期国務、国防長官だ。トランプ氏は週末はニュージャージー州の自分のゴルフ場に前の共和党大統領候補ミット・ロムニー氏らを招いて会談する予定。ワシントン・ポスト紙によると、ロムニー氏は国務長官候補の1人として検討されている、という。ロムニー氏は選挙期間中、トランプ氏を口を極めて批判した人物で、会談に注目が集まっている。
この他の国務長官候補としては、ジュリアーニ元ニューヨーク市長、ボルトン元国連大使、ニッキ・ヘイリー南カロライナ州知事らの名前が取り沙汰されている。一方の国防長官にはトム・コットン上院議員、スティーブ・ハドリー元大統領補佐官、ジェームズ・マティス退役将軍らの名前が挙がっている。
こうした主要人事とは別に、大きな注目が集まっているのがトランプ氏の長女イバンカ氏の夫、ジャレド・クシュナー氏(35)の動向だ。クシュナー氏はクリスティー・ニュージャージー州知事を政権移行チームの代表から更迭する際に影響力を発揮したといわれ、トランプ氏の信頼が厚い。
同氏は選挙終了後にビジネス界に復帰する計画だったが、トランプ氏の当選でホワイトハウスに残留できないか、模索中だと伝えられている。米国では公職にある人物の身内が、その人物の管轄権の範囲で職に就くことは「連邦ネポチズム法」で禁じられている。しかし本人だけではなく、トランプ氏もクシュナー氏の政権入りを望んでおり、その去就が関心の的だ。
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