「働き方改革」のテーマに
長時間労働、時間給付の引き上げなどは安倍内閣が掲げる「働き方改革」のテーマにもなっている。社員の健康を犠牲にした勤務体制は真っ先に是正されるべきだ。しかし、日本の企業風土には、「お客様のためにはそれくらいするのが当たり前」という雰囲気が残っている企業が依然としてある。日本企業が高度成長していた時は、売上増のために残業を強いる傾向があったが、日本経済が長期の不況を経験したいまは「生き残るために」を合言葉に、長時間労働による過労、雇用不安によるストレス、出世競争激化による陰湿な「いじめ」などが職場に広がっており、こうしたことが原因とみられる精神疾患や自殺が増えている。実際に「メンタル」で健康を害する社員をどのように処遇するか、企業の大きな労務問題になっている。今回の事件をきっかけにして、過労死問題について社会全体で真剣に改善策を考える必要がある。
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