2024年12月19日(木)

田部康喜のTV読本

2016年12月14日

 第4回「許されぬ裏切り」(12月9日)に至って、「朝倉クリニック」で1年半前に起きた医療事故の真相を、和花は突き止める。院長の洋人がほほの骨を削る手術で、誤って患者の頸動脈を切ってしまったのである。いったんは止血に成功するが、患者はそれがもとで死亡する。家族には、麻酔薬のアレルギーによるショック死として見舞金を支払って、隠ぺい工作がなされた。

 理事長の柊二は、1年前から父に代わったのでその事実を知らない。彼が疑問を抱いたのは、弟の洋人の開発した整形美容術である。人体に注入する薬品のひとつに副作用があることに気づき、洋人を問い詰める。「実験データがそろわないうちは、手術に使ってはならない」と。

 和花は、しだいに夫の柊二に魅かれていく。かつての妻とは生まれ変わったようなまじめな生活ぶりと、家族を気遣う様子に、柊二もまた「もう一度やり直そう」という。

 「過去の君とはいったん離婚して、再婚しよう」とまでいうようになる。

二役を演じる栗山千秋の新しい魅力

 クリニックの看護師長である、三島奈那子(芦名星)から、芙有子の不倫相手が洋人であることを告げられる。

 「さあ、もとのわたしになって」

 鏡に向かって、和花がそういうのは、成り代わった奔放な芙有子の役になりきって真相に迫ろうとする瞬間である。

 和花は洋人にメールを送る。「いつものホテルで待っている」と。

 真っ赤なバラの花束を抱えて、部屋に入ってきた洋人。和花が突き止めた医療事故を認めるのだった。

 部屋を去る和花に洋人はいう。

 「また、あってくれるよね。芙有ちゃん。そうよんでいたじゃないか」

 うなずく、和花。

 洋人はその瞬間に芙有子が別の人物に入れ変わっていることに気づく。「芙有ちゃんなんて呼んだことはない」

 栗山千秋は、和花とかつての芙有子の二役である。サスペンスの筋立てを輻輳(ふくそう:さまざまな要素が絡み合う)させて、栗山の新しい魅力がにじむ。


新着記事

»もっと見る