2024年11月22日(金)

ネット炎上のかけらを拾いに

2016年12月14日

「不細工」芸人からのキスも罰ゲーム

 性的な接触を罰ゲームとすることについて、もう少し書きたい。

 女性タレントに男性タレントが性的な接触を行う罰ゲームは、今のテレビではほぼ見られない。その生々しさに不快感を覚える人が多く、セクハラであると厳しく糾弾されるからだ。一昔前、とんねるずの石橋貴明はゲストの女性タレントにセクハラを行い、それが「ネタ」として受け入れられていたこともあったが、現代では無理だろう。

 男性タレントに女性タレントが性的な接触を行う罰ゲームは、あまり見られない。「罰にならない」からだ。それどころか、女性ゲストが男性の頬にキスをすることが「ご褒美」であることさえある。美しい女性ゲストから性的な接触をされることを嫌がる男性はいない、ということになっている。

 だが、これが「不細工」枠にいる女性お笑い芸人の場合は別だ。彼女たちとのキスは、男性芸能人への罰ゲームによく用いられる。「ビジネスキス(罰ゲームでのキス)の達人」と呼ばれる女性芸人もいて、その回数がランキングで競われるほどバラエティ番組では頻出している。

 とても幼稚な演出だと思う。

 見た目が劣るお笑い芸人であれば、異性へのキスは相手に対しての罰ゲームとなる。キスする本人が「イヤがる」わけがない。なぜなら「不細工」だから。そして男性ならば、そのような性的な接触による罰ゲームは受け入れなければならない。なぜなら男性だから。このような偏った前提が当たり前のようにテレビの中から差し出され、視聴者はそれを受け取る。不快に思う人もいるだろうが、「世の中はそういうものだ」と思っている人の方が多いからこそ、この幼稚な演出が繰り返されるのだろう。

 下品だから規制しろと言っているのではない。日本のテレビは幼稚さをそのままに提供し続け、社会がそれをそのまま受け止め続ける。成熟にほど遠いと言いたい。

  
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