2024年4月24日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年1月13日

 韓国の憲法裁判所が、朴大統領の弾劾訴追につき、いかなる時点でいかなる判断を下すことになるのか不明なまま、韓国の内政は混迷を深めています。憲法裁判所は、唯一の先例である2004年の盧武鉉大統領の弾劾訴追裁判では、約2カ月で弾劾棄却の決定を出しています。

 その際の決定文の中に「大統領を罷免するほど重大な違反」として「大統領の権限と地位を乱用し、収賄や公金の横領などの不正腐敗行為」など五つの例示があります(朝日新聞参照)。弾劾訴追裁判は、高度の政治性を伴うものでありますので、今回のケースについて、この例示が適用されるか否かは不明です。

朴大統領は弾劾されるのか?

 憲法裁判所は9名の裁判官で構成され、9名のうち6名以上が弾劾を支持すれば弾劾が決定されます。決定書には裁判官一人一人が意見を書くこととなっています。弾劾が決定されれば、60日以内に次期大統領選挙が行われることとなります。弾劾が棄却されれば、朴大統領が任期満了まで留任する可能性も出てきます。

 与党セヌリ党内では、親朴派と非親朴派の双方が相手方の離党を要求し、収拾がつかない状況です。分裂した場合、現在のセヌリ党に、潘基文国連事務総長の大統領選出馬の受け皿となる新党の核となる能力が残っているか否かも不明です。

 韓国の政情は、米中関係や北朝鮮の動向によっても大きな影響を受けます。米国のトランプ政権の対中政策や対北朝鮮政策の方向性が重要な鍵となります。トランプ政権が日韓両国に対する核抑止力の提供を再確認し、日米韓の軍事協力の強化を図ることを推奨するクリングナーの主張は適切です。日本としても引き続き韓国との結束強化に努力することが重要となるでしょう。


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