カメラの再発明
ペイパル・マフィアと呼ばれる何人もの起業家を輩出したペイパルやパランティアの共同創業者で、その後フェイスブックやスペースXなど数百社のスタートアップに投資した投資家としても知られるピーター・ティールは、「誰もが信じている嘘を特定することができれば、その後ろに隠れている真実を発見できる」と言っています。
「撮影機能が向上したスマートフォンによってコンデジの市場が侵食され続けている」という誰もが信じている嘘の後ろには、「家族の写真」という人々の基本的なニーズを満たす真実が隠れているはずです。それを発見することが「カメラの再発明」を可能にします。そしてデジカメ有りきではなく、ソフトウェア・ファーストで考える必要があります。
Snap社が再発明するカメラとはハードウェアではなく、Snapchatという「社会で共有」の新しい手段を意味しています。それによって、人々の生活やコミュニケーションの手段をより良いものにすると言っているのです。そのためにスマートフォン(のカメラ)では不十分ならば、Spectaclesのような独自のハードウェアを提供することもあるでしょう。しかし、それはSnapchatというソフトウェアがあってのハードウェアです。このように「カメラの再発明」は、ソフトウェア・ファーストで考えなければなりません。
「趣味の撮影」の手段としてのレンズ交換式カメラは、しばらく破壊されることなく1000万台程度の市場規模で推移するでしょう。その市場で、ほんの数社のカメラメーカーがシェアを奪い合うだけということになってしまうのでしょうか。
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。