海野素央の Love Trumps Hate

2017年2月25日

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海野素央 (うんの・もとお)

明治大学教授 心理学博士

明治大学政治経済学部教授。心理学博士。アメリカン大学(ワシントンDC)異文化マネジメント客員研究員(08年~10年、12年~13年)。専門は異文化間コミュニケーション論、異文化マネジメント論。08年と12年米大統領選挙で研究の一環として日本人で初めてオバマ陣営にボランティアの草の根運動員として参加。激戦州南部バージニア州などで4200軒の戸別訪問を実施。10年、14年及び18年中間選挙において米下院外交委員会に所属するコノリー議員の選挙運動に加わる。16年米大統領選挙ではクリントン陣営に入る。中西部オハイオ州、ミシガン州並びに東部ペンシルべニア州など11州で3300軒の戸別訪問を行う。20年民主党大統領候補指名争いではバイデン・サンダース両陣営で戸別訪問を実施。南部サウスカロライナ州などで黒人の多い地域を回る。著書に「オバマ再選の内幕」(同友館)など多数。

火消役か、グル(共謀者)か

 トランプ大統領は、選挙期間中、「北大西洋条約機構(NATO)は時代遅れだ」と批判し、組織がテロに対応していないと繰り返し主張してきました。それに対して、マイク・ペンス副大統領は、ミュンヘンで開催された安全保障会議で「米国は北大西洋条約機構に対して確固とした支持をしている」と明言して、欧州の懸念の払拭を図りました。ジェームズ・マティス国防長官は、イラクにおける米軍の展開は石油確保が目的ではないと述べ、トランプ大統領の「原油を確保するべきであった」という発言を打ち消しました。ペンス・マティス両氏の役割は火消しです。

 ただ、「グッドコップ(良い警官)バッドコップ(悪い警官)」ないし「グッドガイ(いいヤツ)バッドガイ(悪いヤツ)」という役割分担による交渉術を意図的に行っているとすれば、解釈は異なってきます。「悪い警官」及び「悪いヤツ」を演じるトランプ大統領、バノン氏、ゴーカ氏及び大統領補佐官スティーブン・ミラー氏は、交渉相手国に無理難題を押し付け、相手国や個人を攻撃して強硬な態度をとります。一方、「良い警官」並びに「いいヤツ」と見られているペンス副大統領やマティス国防長官は、ソフトな態度を示しながら要求や条件を提示し、相手にそれを呑ませるのです。

 交渉相手国は、「良い警官」並びに「いいヤツ」を安心して話せる相手と認識し、彼の要求や意見を傾聴して受け入れます。実はその要求こそが「悪い警官」並びに「悪いヤツ」の本当の狙いなのです。交渉の際、ペンス・マティス両氏の背後には、トランプ大統領と戦略的イニシアティブ・グループの存在があることを強く認識する必要があります。

  
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