In particular, Eisenhower may provide a template for how to govern during a time when the international landscape is hostile and dangerous as it is now. One of the biggest gifts Ike had was ignoring the loudest voices in the room in favor of deliberate and wise counsel. Campaigning and governing are two very different things. The decisions President Trump makes will shape the world.
「特に、現代のように国際情勢が非友好的で危険な時代に、どのように統治すべきかという見本になるのがアイゼンハワーかもしれない。アイクが持っていた大きな才能のひとつは、部屋の中で最も大きな声の人の意見を聞くのではなく、思慮ある賢明な助言に耳を傾けられることだ。選挙キャンペーンと政権運営は全く異なるものだ。トランプ大統領がくだす決断は世界の行方を決める」
今のところ、トランプ大統領は他人の意見に耳を傾ける気配は感じられない。自分の大きな声に自ら陶酔しているようにみえる。そして、本書の最後の一節もトランプ大統領には耳の痛い忠告だろう。とはいっても、トランプ大統領の耳に、この忠告が届くとは思えないが。
Every president is peppered with questions, problems, decisions to be made, and every president comes from his or her own perspective—but the one question aides said Ike always asked was, “Is it good for America?” Let’s hope that question drives most discussions inside the White House and that the new president remembers the paperweight on Eisenhower’s Oval Office desk: gently in manner, strong in deed.
「大統領とは常に疑問や課題を突き付けられ、決断を迫られる存在で、大統領はみな自身の大局観から判断する。しかし、アイクが常に発した問いは『これはアメリカにとっていいことか』というものだったと、当時の取り巻きたちは言う。その問いが、ホワイトハウス内における議論の多くをリードすることを願う。そして、新しい大統領にはアイゼンハワーの大統領執務室の文鎮に記されていた言葉を忘れないでほしい。物腰は柔らかく、行動は力強く」
本コラムの評者としては、トランプに対する痛烈な皮肉をきかせたノンフィクションとして本書を楽しみながら読めたうえ、アイゼンハワーという大統領の偉大さを改めて学べてうれしかった。ところが、アメリカ人は特に、トランプ大統領との対比で本書を読んでいるわけではない気配が濃厚だ。単純に、アイゼンハワー大統領は素晴らしい、と感動している声がネットでの書き込みなどでは目立つ。
おまけに、本書の筆者であるBret Baierは、トランプ支持の色彩が濃いFOXニュースのキャスターだ。本書の中でも、トランプ大統領の政治手法について直接、言及はしていない。筆者本人にも本書で暗にトランプを批判しようという意図はないようだ。アイゼンハワーの偉大さをたたえる本がベストセラーとなると同時に、テレビニュースではトランプ劇場が日々展開されるアメリカという国はなんとも分かりにくい。
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