*******
少年院では健全なものの見方や考え方などを指導する生活指導、基礎学力を付与する教科指導、職業生活に必要な知識・技能を習得させる職業指導などの矯正教育を行い、関係機関と連携し、出院後の生活環境の調整、修学に向けた支援や就労支援等の円滑な社会復帰につなげるための支援を行う。
それを担うのが法務教官である。
一度社会の枠組みから外れた少年たちが更生し、真に社会復帰を果たすためには法務教官の役割が極めて大きい。
今回取材した市原学園は早期改善の可能性が高いと判断された「短期社会適応課程」の少年院で、標準的な教育期間は20週間。出院後の生活設計を見据えた教育が短期・集中的に行われている。関係者に伺ったところ出院後5年以内の再犯率は一ケタ台とかなり低いようだ。
その市原学園に昨年入職し、在院生たちと日々接している法務教官に話を伺った。
関連記事:「市原学園 365日・24時間体制で臨む法務教官の役割とは」
吉田航法務教官に聞く
――もともと教員志望だったとお聞きしていますが、なぜ法務教官に?
吉田:教育実習に行ったとき、休み時間や放課後に子どもたちの話を聞くことが楽しかったんです。進路のことや将来の夢とか。じっくり話を聞くことにやりがいを感じたのですが、教壇に立って授業をしているときには感じませんでした。
学業を教えることが自分に合っているのだろうか、と悩んだときに刑務官をしている父から、法務教官の仕事内容を聞いたのです。この仕事なら子どもたちと密接に関わることができると思いました。この道が自分に合っていると思ったからです。
法務教官になる前となった後で少年犯罪に対するイメージはあまり変わっていません。それは一般社会の方たちが感じていることを私も感じているということです。
ですが、ここに入ってくる子たちの成育歴を知ると家庭や人間関係に問題を抱えていることが多く、それぞれが非行に走った背景がわかってきます。
――様々なケースがあると思うのですが、背景にはどのようなものがあるかお聞かせ下さい。
吉田:私が衝撃を受けたことは、いじめっ子がエスカレートして一線を超えていくのではなく、いじめられていた子が非行に走るケースが多いということです。