親が来ている子たちは、本当に嬉しそうな表情を見せていました。普段は面会でしか会えないけれど、交流会では自分たちが頑張っている姿を見せることができるので、より嬉しいと思っている子もいるんです。
秋の親子交流会では「集団行動」をやったのですが、練習の成果や自分たちの努力を見せる機会だからと誇らしげにやっていた姿を見ました。普段の面会で会うときとは違う表情なのです。頑張っている、その自分の姿を見せられる場ですから。
保護者が来られない子には、普段厳しい法務教官たちが気配りをして、手を繋いだり、子どもをおんぶして、積極的に関わっていきます。最初はさびしそうな表情をしていますが、職員たちの思いが伝わったようで、あとで保護者にそのときのことを話していたそうです。
こうした季節の行事は、普段消極的な子が積極的に変わっていく機会でもあります。タイミングを見計らって背中を押して成長を促したり、気づかせたりする機会になっていると思います。
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吉田法務教官が指導上、一番気を付けていることは、「年齢が近いからこそ、常に少年たちの視点に立つことを忘れてはならない」という点である。経験は少ないが、年齢が近いからこそ理解できることもあると考えていると語っている。
「いじめはその子の将来に大きな影響を与えてしまいますので、周囲の大人たちは放置してはいけない」という言葉を重く受け止めなければならない。
金子大樹法務教官に聞く
金子:仕事に就く以前は、少年犯罪は増えているし、凶悪化している印象が強かったので不安もありましたが、実際には減少傾向にあることを知って驚きました。
非行に走る少年というのは、なぜ自分は周りの人と比べて、できないんだろうという強い劣等感を持っていることが多く、いつも周りと比べ、周りを気にして自分を大きく見せようとしているように思います。少年院に入ってくるような少年であっても、最初は本当に小さなところに非行の要素があるのかなと思っています。
そう考えれば、非行少年の入り口のハードルは低く、誰もがそうなってしまう可能性があると思います。