減少傾向にある少年犯罪
昨年、本コラムに ―「平成27年中の少年非行情勢について」によれば、平成27年(2015年)中における刑法犯少年の検挙人員は3万8921人で、前年よりも9440人(19.5%)減少し、04年から12年連続で減少記録を更新している。人口比でも10年以降、6年連続で減り続けていると記されている。
その中で15年の再犯者数は1万4155人で、前年より2733人(16.2%)減少し、04年以降、こちらも毎年確実に減り続けている。その一方で再犯者率は36.4%と、98年から18年連続で上昇しており、統計のある72年以降最も高い数値となった。―と書いた。
現実の少年犯罪は数値が示す通り確実に減少している。再犯者率が上昇しているとしても、それは初犯者数の減少に比べ、再犯者数の減少が小さいためで04年以降、再犯者数も毎年減少傾向にあることに変わりはない。
しかし、人々が犯罪や治安に対して感覚的に感じる「体感治安」は、様々な要素によって大きくなる一方なのではないだろうか。あくまでも筆者の主観であり、感覚的なものなので具体的に示すことはできないが、その感覚は広がっていると感じている。
警察庁の統計「平成28年上半期における少年非行情勢について」によると、28年上半期の検挙人員は1万5,489人と、前年同期より3,859人(19.9%)減少し、再犯者数は5,851人と、前年同期より1,291人(18.1%)減少していると発表された。
昨年1年間の統計はまだ出ていないが、引き続き減少していることを願うばかりである。
ただ、先に記した理由によって再犯者率は37.8%と高まっている。
混同されやすい「再犯者率」と「再犯率」
ここで「再犯者率」と混同されやすい「再犯率」の意味を整理しておきたい。
「再犯者率」は、検挙等された者に占める再犯者の割合を見る指標であり、「再犯率」とは犯罪により検挙等された者が、その後一定期間内に再び犯罪を行ったのかどうかを見る指標である。
統計では検挙者数が毎年減少傾向にある反面、検挙者に占める再犯者の割合が上昇していることを示し、いかに再犯を防止するか、それが社会安定の重要な課題になっていることを表している。
政府は犯罪を減らすためには、再犯の防止が極めて重要であるとして「再犯防止に向けた総合対策」をとってきた。また、2016年12月には「再犯の防止等の推進に関する法律」が公布、施行された。(再犯の防止等の推進に関する法律(平成28年法律第104号)の詳細はこちら)http://www.moj.go.jp/hisho/seisakuhyouka/hisho04_00049.html