また、少年院に入る前は、学校の運動会や発表会に両親が一度も来たことがなかったから嬉しいと言った少年がいます。親が見に来てくれる。会いに来てくれることを素直に嬉しいと感じたと言っていました。
様々な家庭がありますが、審判を受ける過程で虐待を認識し、少年院に入ったことで、お互いに親子関係を見直すきっかけになるのではないかと思って見ていました。
春の親子交流会では家族でカレーを作りました。ひと家族で一つの鍋を使っていっしょに作って、いっしょに食べるんです。そういう機会もなかったと思いますので、改めて家族の大切さを考える機会になります。親子交流会は親子が触れ合って、親子を再認識する重要な機会になっています。
少年たちの中には学校を退学している者や、部活動をやめて挫折感を味わっている子もいますので、納涼会の盆踊りなど外部から来ていただいた講師に励まされたり、褒められたりして、できなかったことができるようになって本番を迎えれば達成感を味わいます。
今まであまり褒められた経験がなかった少年たちですから、顔を赤くしたり、照れたり、普段の生活とは明らかに違う表情を見せることがあります。支えられていることを知る上でも大切な経験になったと思います。
社会から少年犯罪を減らすためには、やはり虐待やネグレクトをなくさなければならないと思います。
また、経済的に苦しいとか、片親とか、そういった環境のせいにするのではなく、親子が向き合ってしっかり親子関係を築いていくことです。忙しくても運動会を見に行くだけで、もしかしたら非行は避けられるかもしれません。
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市原学園では、成人式、親子交流会(年3回)、スポーツ大会、納涼会、水泳記録会、クリスマス会、タグラグビー講習会、講話など、外部の団体や講師が来園する多数の行事が行われ、地域社会との交流が図られている。そのすべてが再犯防止の教育活動であり社会復帰のために必要なものである。
吉田航法務教官、金子大樹法務教官、ご協力ありがとうございました。
取材にあたり、市原学園の職員の皆さまには多大なるご協力をいただきました。深く感謝しております。
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