2024年4月23日(火)

Wedge REPORT

2017年4月3日

東京23区の「後見格差」

 東京23区の後見実績からも支援体制の地域差が窺える。

写真を拡大 東京23区でも成年後見利用に大きな地域差 出所:ウェッジ作成
 注:社会福祉協議会の法人後見数および監査人件数は、2015年度末までの累積件数。江東区のみ未回答。首長申立件数は、各区の65歳以上人口(16年1月)1万人当たりの過去5年間(11~15年)の区長申立件数。いずれのデータも高齢者関係のみ。

 例えば、社会福祉協議会が市民後見人の監督人を受任した件数(15年度末までの累計)が、品川区と世田谷区では100件を超えるが、半数以上の区では1桁に留まっている。また、社協が法人として後見人に選任されたケース(法人後見)をみると、品川区が約170件と群を抜いているが、半数以上の区は10件にも満たない状況である。

 「身上監護は専門職よりも地域に密着して同じ目線で接することができる市民後見人の方が向いている。市民後見人を増やすには、地域で信頼できる社会福祉法人等を、自治体や専門職、福祉関係者が連携しながら育てあげるしかない」(後見人サポート機構・元代表理事の小池信行弁護士)という。

 また、高齢者1万人当たりでみた過去5年間の各区の区長申立ての数も、最大で30倍の開きがある。居住者の属性や地域特性もあるため、一概には言えないが、首長申立てが少ない地域には、潜在的な後見ニーズを発見できていない可能性が高い。

 さらに、首長申立てにより社協や市民後見人が受任するケースは、資産が少ない高齢者が多いため、行政による後見人への報酬助成が発生する。後見を一旦開始すると、亡くなるまで助成が続く。「財政負担が累積していくため申立てを躊躇し、判断能力が低下したまま放置されているケースがある」と関係者は指摘する。


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