2024年11月22日(金)

Wedge REPORT

2017年4月4日

 審査の第1段階は、月2回開かれる、区の高齢者福祉課や地域包括支援センター、民生委員などが集まる「ケース会議」だ。要介護度や認知症度、健康状態、世帯状況や親族の関与、収支・資産・相続の状況など、各々が得た情報を共有する。

支援員は2人体制で毎週高齢者の自宅を訪ねる。(上)、生活費2万円を支援員から受け取る村田さん(下)(写真・Wedge)

 「本人の性格や金銭管理に対する意向などを踏まえて、在宅か施設入所かなど、どんな支援を必要としているかを見極め、短期と中長期両方の支援策を協議する」(齋藤所長)。
 
 支援の方向性が決まると、次は後見人候補のマッチングを検討する。資産が少なく家族関係が複雑でない場合のみ、市民後見人に依頼する。

 一方、身上保護面で困難を抱えるなど、組織的に対応する必要性がある場合には、NPO法人「市民後見人の会」などに、不動産の売却などを含む案件の場合は、専門知識を持つ信用金庫OBで組織される「しんきん成年後見サポート」などに依頼する。

 適切に振り分けるためには被後見人の状況を詳細に把握する必要がある。品川区では自治体の調査権を駆使した徹底的な事前調査と情報共有を行う。もし事前の情報が不足し、マッチングがうまくいかなかった場合、受任した市民後見人に過大な負担がかかることになるからだ。

 記者は30人以上の市民後見人を取材したが、他区では知識がないために不動産売却でトラブルになった市民後見人や、家族間での経済的な虐待が後に発覚して家族と紛争を抱え、家裁に辞任届けを出した元市民後見人も実際にいた。「市民後見人にお願いするのか、法人にお願いするのかなど後見の担い手は個別事例ごとに慎重に検討し、ミスマッチのないようにしている」(齋藤所長)。


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