「使えない上司」と思えることがすばらしい
事業部制のほうが、複数の機能を束ねられる経験や能力などを身につけた管理職が生まれてくる傾向がある。役員になるならば、複数の機能を束ねられる経験や能力があり、経営やビジネスを語り、道筋をつけることができないといけない。
総合商社の子会社で、現在、役員をしている男性がいます。彼は親会社である商社の事業部でエースに近い存在となり、大きな成果を出します。その後、人事部長になり、大改革をします。人事部プロパーの部長よりは、はるかに優秀でした。出向し、子会社で役員になっています。いずれは、親会社に戻り、社長になるかもしれない人です。
男性は、環境変化の激しい業界で、優れた会社の事業部制のもとで鍛えられ、頭角を現した「優秀な人」の典型です。経営やビジネスを深く語ることができる。それを実現する力も兼ねそなえている。今後、役員になりたい人は、男性のような人から学ぶべきです。例えば、なぜ、エースになったのか。なぜ、人事部長になり、らつわんを振るうことができたのか、という視点で観察し、深く考えるのです。
上司が「使えない人」ならば、反面教師として観ればいい。自分がいずれ、役員になるという経路を意識し、見失わないならば、そのプロセスで起きる問題など、ささいなこと。「使えない上司」との出会いも、その1つでしょう。部下として上司のことを、「使えない」と思えることがすばらしい。目が肥えているから、言えることです。
今、日本企業の役員会のあり方は、変わろうとしています。10年後には、大きく変わっているはずです。経営を担う人たちはMBAホルダーのような、その道のプロが多数を占める時代になるべきなのではないでしょうか。
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