「公共投資の効果は一時的だが、財政赤字は永続する」という批判への反論
「今年、政府が借金をして公共投資をするとします。今年の失業者は減るでしょうが、来年公共投資をしなければ、来年の失業者は昨年と同数になるはずです。したがって、景気の回復は一時的なものに留まります。一方で、今年政府が借りた金は、永遠に政府の借金として残ります。したがって、公共投資は無駄ではなく有害なのです」という人がいます。
しかし、これは違います。以前、景気は自分では方向を変えないから、不況期には政府が公共投資で景気の方向を変える必要がある、と記しましたが、その視点に立てば、公共投資でひとたび景気の方向を上向かせてやれば、景気が勝手に回復・拡大していくので、途中で公共投資をやめても構わないのです。マッチで部屋を暖める事は出来ませんが、マッチでストーブに火を点ければ、部屋は温まっていくのです。
景気がよくなっていけば、税収が増えますし、失業手当ても生活保護も減ります。失業対策の公共投資も続けなくて大丈夫です。長い目で見れば、公共投資を行って景気を回復させることが、財政の健全化にも役立つと考えて良いと思います。
公共投資は労働力不足なら一休みすべき
公共投資の多くは、特に差し迫った期限はありません。それならば、景気が悪くて失業者が多い時に多く、景気が良くて労働力不足の時に少なく行なうべきです。現在は、景気が良いとも言えませんが、労働力不足ですから、公共投資は急ぐものだけで良いでしょう。
東京オリンピックが終われば、おそらく建設労働者が失業するでしょうから、その時に大量に工事が発注できるように、資金面の準備も心の準備もしておきましょう。
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