2024年7月18日(木)

No Science, No Business

2010年9月3日

 しかし、回転数が上がってくると、バッテリーからの電流を打ち消す逆向きの誘導起電力が大きくなって、ほどほどの電流しか流れなくなり、力もほどほどになる。逆に、減速する時は、回生といって、エンジンブレーキのように車輪の回転でモーターを回すことで、生じる誘導起電力をバッテリーに戻すことができる。

 ただし、化学反応で電力を作り出すバッテリーで、電流をいちどにたくさん流すのはそれほど簡単なことではない。それには、高いレベルの技術が必要になる。

 リーフのもう一つの大きな特徴は、車を構成する部品の中で最も重いバッテリーを、座席の中など車体の中心の底面近くに多く配置していることだ。

リーフの車体内部。中心に、バッテリーが配置されており、それ自体が重心を安定させる錘にもなる。

 これによって、重心が車体の中心よりになって、ハンドル操作が従来の車よりも意図通りに反応するらしい。

 電気自動車は、内燃車とは車の設計を、根本的に大きく変える事ができる。

 たとえば、イン・ホイール・モーターといって、モーターを車輪の中に入れる構造がある。こうすることで、各車輪を独立に制御して、走行安定性をより高めたり、超信地旋回や真横への車庫入れのような、内燃車に不可能な動きができるようになる。さらに、車体に大きな部品を置く必要が無くなり、同じ大きさの車でも、車内をゆったりレイアウトできるというメリットもある。慶応大学電気自動車研究室が開発してきたELIICAは、このイン・ホイール・モーター方式だ。

 ただし、イン・ホイール・モーターは車輪が重くなるため、サスペンションやハンドリングの性能を上げるのが難しいともいわれている。

 その意味では、日産は、電気自動車の第1号として、手堅い設計を選んだのだろう。

 リーフはその値段設定もなかなか面白い。

 標準で376万円からで、補助金77万円を繰り入れると299万円になる。

 この購入価格は、同一クラスの普通車よりも50万ほど高いけれど、6年乗ると、その間の燃料代(電気代)8万6千円に対して、普通車の燃料代(ガソリン代)が67万円で、そこから先はお得になる。原油価格の動向次第では、もっと早く元が取れるかも知れない。 つまり、初期投資は高いけれど、一般的な車の買い換え期間で考えると、むしろお安くなりますよという設定になっている。

 これは、住宅に太陽電池パネルを取り付けるのと似た価格設定だ。住宅の太陽電池パネルも、補助金を使って標準的なものを取り付けた場合、発電した電力を売電して10年後くらいに元が取れ、プラスになりはじめるような設定になっている。

 まあ、厳密にいえば日照条件や晴天率、緯度の違いで差はあるものの、家庭用の太陽電池パネルは、ざっくり10年分の電気代をプリペイドしているってわけだ。

 つまり、リーフはバッテリーを劣化させないように長く乗り続けるほど、お得になるという、これまでの自動車とはちょっと違った行動を促す乗り物といえるわけだ。
 

*後篇は、電気自動車のカナメ・電池のしくみについてです

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