2024年11月22日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年6月1日

 ロウギンは、トランプ政権が北朝鮮問題に絡む対中関係配慮のために目下の台湾武器売却案の承認を遅らせていることを問題視しています。「トランプ政権は目先の希望のために長期的な目的を犠牲にすべきでない」、「中国との間には常に緊急の問題が起きるだろう。しかしレーガンがきちっと理解したように、米国の台湾防衛コミットメントは取引材料として譲歩するには余りに重要である」と述べる最後のパラグラフは明快です。

戦術だけの外交は最終的には信用されない

 トランプがいろいろの戦術を考慮する過程で種々の政策論がありうることは想定されますが、行き着く先に関する戦略についてはきちっとしておく必要があります。今の遅れはぎりぎりトランプの戦術であり、北朝鮮の状況がより明確になるにつれ遠くない将来計画案が実施されることが期待されます。すべてが取引材料ではなく、取引できないことも有ります。戦術だけの外交は最終的には信用されないでしょう。

 トランプの対中政策については注視していく必要があります。自分は習近平が「好きだ」「尊敬している」といったトランプの発言は、トランプ一流の脅かしと宥め賺し混在の交渉術ではありますが、大統領の言葉としてはいかがかと思われます。

 習近平や蔡英文が今いかなるトランプ像を持っているか興味深いところです。なお1982年のレーガンの「六つの確約」のポイントは次の通りです。

①台湾への武器売却の終了時期は合意されていない。
②台湾と中国の間で米国が仲介することはない。
③台湾に中国と交渉するよう圧力をかけることはない。
④台湾の主権に関する立場を変更することはない。
⑤台湾関係法の規定を変更することはない。
⑥台湾への武器売却決定に当たり事前に中国と協議することはない。

  
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