2024年4月20日(土)

From LA

2017年6月30日

 もっとも候補として名前が挙がっているのはフィールズ氏だけではない。強力なライバルとなりそうなのがシェリル・サンドバーグ氏。フェイスブックのCOOとして知られた人物だ。サンドバーグ氏はビジネスマンとしての側面だけではなく、過去にサマーズ財務長官(当時)の元で働いていた、という政府に顔が効く側面も非常に魅力的なチョイスとなる。

 政府系人事で言えば、アンソニー・フォックス元運輸長官も候補の一人として挙がっている。ウーバーのような企業は政府の規制とどう折り合いをつけていくのか、というのが今後の発展の上で重要な要素となる。そうした面で十分すぎる経験を持つフォックス氏も、ウーバーにとっては非常に欲しい人材となっている。

元ヤフーCEO、メリッサ・メイヤー氏も候補

 さらに職を離れた大物、として元ヤフーCEO、メリッサ・メイヤー氏も候補だという。シリコンバレーの女性経営者として非常に注目されたが、ヤフーの立て直しには失敗、ヤフーは電話会社ベライゾンに売却された。それでもメイヤー氏個人に対する評価は今も高く、有力候補の一人とされる。

 それでもフィールズ氏がウーバーCEOにもっとも近い人物、と考えるのは、本人のフォードへの意趣返しの思いが強いだろう、という点だ。フィールズ氏自身自動運転の導入には積極的だった。しかし動きが遅い、と判断されたのは、フォードという巨大企業を率いて利益を出す、という前提があったため。ウーバーはまだ黒字企業ではなく、上場もしていないから株主に配慮する必要がない。そして自動運転タクシーの実現を目指す、など普通の自動車メーカー以上に新しい技術導入に積極的だ。ここでウーバーを立て直し、見事に自動運転の部門でも業界リーダーに持って行くことができれば、フィールズ氏への評価はうなぎ登りになる。まだ56歳という若さだけに、ウーバーをステップに今後さらに大きな企業で活躍できる素地は十分にある。

 新体制でのウーバーの復活、様々な理由で企業を去った業界の大物達の今後など、ウーバー新CEOの決定は注目を持って待たれている。

  
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