「いっしょに写った家族がみーんな死んでしまった8月が忘れられん。ずーっと家族といっしょにいたい」。だから、いっしょに写真を撮らないおばあちゃんが、ぼくたちの小学校の平和学習の時間に来てくれました。「いわたくんちのおばあちゃんが、家族といっしょにピース! そんな日がくるといいのに。ぼく、戦争せんけえね」とぼくは言います。
今や写真は、携帯電話でも撮れるほど手軽で気軽なものになりましたが、その一瞬を切取り、残すことができるものということに変わりはありません。戦争や紛争を対象にした写真集も多く出ていて、「百聞は一見にしかず」の言葉通り、大変説得力のあるものであることは事実です。半面、あまりにストレートで、ときに目をそむけたくなるような写真もあります。いくら事実とは言え、子どもに恐怖心しか与えない場合もあるので、その点は親としての配慮が必要だと思います。
「戦争と平和の絵本」は親子だからこそ
世界中の子どもたちの明るい未来を願った応援歌ともいえる『世界中のこどもたちが』という歌の歌詞に合わせて、103人の絵本作家が絵を描いた絵本『世界中のこどもたちが103』(講談社)を見ていると、思わず歌を口ずさんでしまいます。歌えること、本が読めること、“明日”の存在を信じられることなど、当たり前と思っているいろんな幸せがしみじみと感じられてきます。そして、読みきかせをした時の子どもたちの笑顔やうれしそうな様子が思い出され、いつまでも見ることができるようにと、願わずにはいられません。
戦争や平和について考えることは大切なことですが、不特定多数の子どもたちが集まるおはなし会では、扱いが難しいジャンルでもあります。だからこそ、終戦記念日や旧暦のお盆を一つのチャンスと捉え、それぞれの家庭で、戦争や平和をテーマにした絵本を、子どもといっしょに広げて見て下さい。その時間は、いつもの読みきかせとはまた違ったものとして、親子それぞれの想い出になるのではないかと思います。
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