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WEDGE REPORT

2017年7月26日

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吉村慎司 (よしむら・しんじ)

北海道国際交流・協力総合センター客員研究員/北海道建設新聞記者

1971年鳥取市生まれ。同志社大学大学院総合政策科学研究科修士課程修了。97~2010年日本経済新聞社勤務。11年ロシア・ウラジオストク国立経済サービス大学短期留学。
 

日本への好感度は高い

 なぜノボシビルスクで、ハイテクやものづくりが熱を帯びるのか。広域でシベリア管区全体を見渡せば実は油田や炭田の宝庫であり、ロシアの王道である資源開発で食べていけばよさそうにも思える。

シベリア鉄道のノボシビルスク駅

 その答えは、日本とこの地域の共通点にも重なってくる。ノボシビルスクは、地下資源に恵まれたシベリアにありながら、例外的に資源がないのだ。州にしても市にしても事情は同じである。州政府の資料によると、州内総生産のうち鉱業は5.3%に過ぎないという。一方、ほかの地域と比べてサービス産業や工業、食品産業が発展しており、ものづくりに関しては州内で300社近くのメーカーが操業している。日本と同じように、資源のないところで経済成長を目指さなければならない地域というわけだ。州政府公式サイトによると2016年の経済は事前予想を上回り、地域内総生産は史上初めて1兆ルーブル(約2兆円)を突破したという。

 有力紙コムサモーリスカヤ・プラウダのノボシビルスク支社に所属するウラジーミル・ロギノフ記者によれば、日本に対するシベリアの住民の関心は高く、好意的だという。日本関連の記事に寄せられる読者の反応を見ると、日本に行ってみたい、本物の日本製品を買いたいといった内容が多いそうだ。

市内中心部にあるマリオットホテル

 日本の対ロ外交姿勢の変化という背景もあり、数年前までほとんど光が当たらなかった両国間ビジネスの話題がマスコミ報道に載りつつある。しかし日本の報道機関のロシア拠点はヨーロッパに近い首都モスクワに集中しており、このため報道もモスクワ発、あるいはサンクトペテルブルクを含むヨーロッパ近接地域発の内容が大半となる。それ以外となれば極東が申し訳程度に紹介されるばかりで、その中間にある有力な地方都市について、ましてビジネス情報について報道されることはほとんどない。情報不足ゆえに、日本で「ロシアビジネス通」と見られている人であっても「ロシアと言えばモスクワ圏か極東かの二択」、「ロシアの地方などどこも取るに足りない田舎ばかり」といった認識のままでいるケースが時々見られる。

市内には凝ったデザインの建築物も目立つ

 残念な状況ではあるが、これはむしろ、ビジネスの宝探しをする人にとってはチャンスだろう。もし日ロ関係が今後経済分野でも進展していくなら、モスクワ圏、極東それぞれに問題を感じたビジネスパーソンがいずれシベリア地域に目を向け始めることになる。先を読んで布石を打っておくのも悪くないはずだ。

  
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