新たなリスクも
同日発表した16年度の東芝の連結決算は、ウェスティングハウス・エレクトリックカンパニー(WH)に関する損失が大きく響いて9657億円の損失を計上した。製造業としては史上最大の規模だ。17年度は、WH絡みの損失が連結対象から切り離され、半導体事業の好調が続くとみていることなどから収益が大幅に好転して上半期で2100億円の営業利益を見込んでいる。
半導体部門が16年度の営業利益の9割を稼ぎ、17年度の業績予想でも利益の大半は同部門が生み出すと予想している。家電や医療部門などはすでに売却し、債務超過を回避するために「虎の子」である半導体部門まで売却しなければならないのは、何とも皮肉な結果と言える。
しかし、米国の原発事業のリスクから遮断できたと思いきや、今度は米国テキサス州フリーポートで生産したLNG(液化天然ガス)を日本に運んでくる事業がLNG価格の変動により、リスクを生む可能性が懸念されている。この計画は19年以降に毎年220万トンのLNGを日本に運んでくる契約で、8割を超える量について複数の長期供給計画で基本合意しているが、供給開始時にLNGの市場価格が東芝の予定していた水準より下回ると、損失が発生する恐れがある。原油などエネルギー価格に変動はつきものだが、東芝としては19年度以降に新たなリスクを抱えることになる。
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