世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2017年10月17日

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 前ページ論説は、中国の代表的知米派である賈慶国北京大学国際関係学院長による論説です。9月16日付読売新聞も引用しています。賈は、9月7日に中国と関係の深い香港の「中国評論通信社」の中国語インタビューにも同趣旨の発言をしています。中国指導部がこういう論評を必要としていることが示唆されます。

 中国における北朝鮮問題は、実に複雑であり、従って「非核」、「安定」、「平和」の間に優先順位をつけることができませんでした。結局、この問題の本質は米朝の問題だということにして、「何もしない外交」しかしてきませんでした。その結果、北朝鮮の核兵器国化が眼前に迫り、米国の軍事行動の蓋然性も急速に高まりました。中国自身、自国の利益を基本に据えて、この問題を再整理し、政策を練り直す必要に迫られたのです。

 中国が政策を再検討した結果、北との関係が悪化し、場合によっては不測の事態も引き起こすことになります。誰がその責任をとるかの問題となり、すべて中国の内政と結びつきます。現時点において、それをやれるのは習近平しかいません。それゆえ、4月の米中首脳会談の前に政策見直しが行なわれ、中国の国益を第一とし、必要に応じ北への圧力を強める方針が定まったのです。東シナ海や南シナ海における中国の対応と基本は同じことです。

 中国外交部が9月7日に公表したところによれば、9月6日の電話会談で、習近平はトランプに対し北朝鮮の非核化を実現する方針を堅持するとした上で「平和的解決という大方向を堅持し、朝鮮半島の核問題を解決するには、結局、対話と交渉、総合的な施策、長期的な解決の道を積極的に探るしかない」と言ったとのことです。北朝鮮の核兵器国化の阻止であり、その手段が対話であり、圧力の強化を含む「総合的施策」です。そしてそれに合わせるかのように賈慶国は、北朝鮮への圧力の意味を込めてこの論評を出しました。

 米中で、緊急時対応を含め、今後のシナリオをすり合わせることができるのか。日本はそこにどの程度関与できるのか。これらのことが、真の意味で喫緊の課題となりました。ティラーソンの「四つのノー」((1)北のレジーム・チェンジはしない、(2)北のレジームの崩壊はさせない、(3)半島の統一を加速化させない、(4)米軍は38度線を越えない)を骨格とする北朝鮮への「出口」の保証を含め、主要国の間で早急に対話と圧力のシナリオを作りあげる必要があります。

  
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