インドがオリンピックでメダルが獲れない理由はクリケット?
インドは人口13億人であるが同じ人口規模を有する中国がオリンピックのメダル獲得競争でトップを争っている状況と比較すると不思議である。ほとんどメダルを取れていないのである。
インド人に「なぜインドはオリンピックでメダルが獲れないのか」と聞いてみると同じような答えが返ってくる。
曰くインドはオリンピック採用競技のスポーツ人口が少なく結果としてレベルが低いという。その理由はクリケットに競技人口が集中しており、商業的にもクリケットが大きな産業を形成しているからという。クリケットの強豪チームは大企業がスポンサーについておりさらにはインド軍もスポンサーになっているという。
また、TV中継も国内のTV局は大衆的人気を博しているクリケット以外ほとんど中継しないという。つまりクリケット以外のスポーツでは飯が食えないというスポーツ産業の実情なので他の競技に世界レベルの有力選手が育たないという社会環境があるようだ。
ド派手なカバディーのTVショー
冗長なクリケットの試合に飽きたのでチャンネルを回すとTシャツに短パンをはいた多数の女子が手をつないで鬼ごっこのようなゲームをやっていた。“カバディー”のようだ。ユニフォームがカラフルで動きが素早くタックルやスライディングのような激しいアクションもありなかなか見応えがある。
チームは7人である。攻撃と守備に分かれて何回か攻守交替する。攻撃側は一人が鬼役となり手をつないで逃げる相手チームの7人の誰かの体か足にタッチすれば得点になる。逆に守備側がタッチされずに鬼を捕まえれば鬼はアウトになるようだ。
ショーアップされた演出で試合の合間に歌やダンスのアトラクションもある。どこか女子プロレス的な世界である。攻撃役の鬼はヒット&アウェイを機敏に繰り返す。タッチを躱す守備側の7人の動きも俊敏で見ていると意外に防御率が高いようだ。
番組の途中で停電になったのでゲストハウスのオーナーに聞いたら女子カバディーは最近TVショーにより人気が出てきた。ファッション関係などチームに企業スポンサーも付いてきて選手の収入も向上しつつあるという。
カバディーのチームではカースト制度による身分差別の問題はないのかオーナーに聞いたところ「問題ない」と断言した。理由は簡単で「カーストの下の階層の少女はそもそもスポーツなどする余裕がないから」とのこと。
⇒第13回に続く
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