2022年12月5日(月)

Wedge REPORT

2018年1月30日

»著者プロフィール

アパート経営は立地次第

 木下さんはこの数年、ブームとなっている相続税対策として相続した土地に借金してアパートを建てる提案には、立地場所がよほど良い場合を除いて、乗らない方が良いとアドバイスしている。

 

 相続する土地にアパートなど賃貸住宅を建設すると不動産としての評価額が10~20%下がり、建設のために借金をすると相続税評価額から差し引かれるため、相続する土地を使ってアパ-ト経営をすることが相続税対策としてこれまで盛んに推奨されてきた。相続人は建てたアパートから家賃収入が得られるためアパート建設資金を返却して、安定した老後資金が確保できると考えて、勧められるままに簡単にアパート建設計画を決断するという。

 遊休農地の多い地方の場合、金融機関が低利で住宅資金を融資してくれることもあって同じようなアパートを建てるケースが多く、結局、アパートが過剰になり家賃が次第に下落、思うような家賃収入が得られなくなる。最悪の場合、借りた建設資金が払えなくなり、アパートを二束三文で売却しなければならなくなる事例があるという。

 国土交通省の発表によると、相続税の基礎控除額が下がった15年ごろから賃貸住宅の建設が増加傾向になり、16年もこの傾向が続いた。しかし、着工数の増加ほど入居需要が増えていないのが現状で、16年3月時点では首都圏では空室率が東京23区内は33・68%、神奈川は35.54%、千葉は34.12%と、いずれも過去最悪の水準になっている。

 一部の税理士などは、相続人がアパートの建設決めると建設会社から紹介手数料がもらえるインセンティブがあるため、積極的に建設会社に紹介しているが、アパート建設はこの数年供給過剰になり空き家が増加、必ずしも相続人の安定した収入につながらないという。相続税対策としてアパート経営をする場合は、将来的にしっかりとした見込みのある収入プランと建てた上でないと、相続した不動産が「負動産」になってしまう。

  
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。

新着記事

»もっと見る