チャイナ・ウォッチャーの視点

2018年2月1日

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各種優遇策で企業と人材集める

 民間の事業の成長を後押しするうえで重要になる優遇政策としては、様々な税の減免措置、北京戸籍の申請上の優遇、奨励金の支給などがある。政策の手厚さに驚いたと話すのは先の沖村特別顧問。

 「17年に訪れた生命科学、バイオ製薬の研究開発をメインにした中関村ライフサイエンスパーク(北京市昌平区)では、入居企業の最初の3年間の企業所得税を100%免除し、その後の2年間は50%を免除している。敷地のリース料金は相場より安く、投資や融資、財務代行など様々なサービスも受けられるようになっている」

 「最初に10万元(171万円)や15万元を支給する制度があります。加えて、低利融資を受けられるようにするなど、さまざまな優遇政策があります。入居企業は申請すれば、北京大学や清華大学の実験室を使うことも可能です」(王代表)

 中関村には外資系企業も集まっており、大学や企業との交流が盛んに行われてきた。優秀な外国人を呼び込むべく、外国籍人材もハイテク企業のトップ管理職に登用可能といった優遇措置があったが、これに加えてグリーンカード(永住権)を取得しやすくする取り組みが始まっている。

 「中国は世界で最もグリーンカードの取得しにくい国とされていますが、中関村で働く海外人材がグリーンカードを取得するために様々な優遇策が講じられています」(王代表)

 ①イノベーションを推し進めているハイレベル人材②起業する外国籍中国人(華僑)③企業チームに所属する外国人メンバー④優秀な外国籍の青年・学生――この四つの区分の人材にグリーンカードを取りやすくする政策が整えられている。

 中国のグリーンカードの取りにくさは、ノーベル賞を取らないと取得できないと冗談めかして言われるほどだった。国内の優秀な人材を集めるだけでなく、海外からも人材を惹きつけ、なおかつとどまって技術の発展に貢献してもらおうという新たな方針を、まず中関村から導入しているのだ。科学技術大国を目指す中国政府にとって、首都に位置し、優秀な人と企業を抱える中関村は、国家の今後を左右する存在。手厚い支援と規制緩和で民の成長を官が支える体制は今後も続く。

  
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