変わる地政学
しかし、米政府はタリバンの事実上のナンバー2である組織の最強硬派「ハッカニ・グループ」の指導者シラジュディン・ハッカニがISIとの関係を深めていると疑っているようだ。パキスタンが最近、米国の要求を無視して軟禁状態にあった過激派指導者らを解放したことも米国が激怒した理由だが、当面、両国の関係が改善する見通しはない。
特にパキスタン軍で影響力を増大させている陸軍参謀長カマル・バジュワ将軍の米国への反発は強く、米国に代わる支援国を模索しようと、中国、ロシア、イラン、カタール、サウジアラビアなどに急接近している。とりわけ、中国との経済関係が急拡大しており、中国の影響力拡大を封じ込めたい米国にとっては大きな脅威になっている。
対して、米国もパキスタンの潜在的な敵国であるインドとの関係強化にすでに乗り出しており、西南アジアの戦略バランスは一気に激変しそうな雲行きだ。アフガニスタンの治安悪化はアジア全体の地政学を大きく変えようとしている。
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